AIのニュースの解説が欲しい?
はじめに
Googleのアプリではインターネット上の記事をおすすめして表示してくれる機能があります。その中で以下の記事が目につきました。
ニュースサイトを見るより、ChatGPTに毎日ニュースを送ってもらった方がいいよという話|けんすう
最初のうち、ふむふむなるほどなと思って記事を読んでいたのですが、ふと幾つかの疑問が湧いてきました。今回はその疑問について感想を述べていこうと思います。
ニュースの要約
ニュース記事を AIに要約と解説を求めること自体はさまざまな人が行なっているようです。また、それを解説した記事も概ね評価を集めているものも見受けられます。
実際私も、ニュース記事を読んだだけでは内容が頭に入ってこないし、起こった事実のみを伝えられてもどのように解釈して良いかは判断に迷います。また、記事自体が長いものの場合は内容を読み解くこと自体に苦労することがあります。それに単純に数が多いとそれだけで読むのが大変です。
そう言ったことから、ニュース記事を代わりに読んで要約してくれるというのは需要がありそうな気がします。
ワイドショーや時事解説がその役割を担っている?
需要がありそうなことは分かったのですが、テレビではニュースを報じた時に専門家を招いてコメントをもらったり、意見を聞いている番組もあります。
これは専門家による要約と事件をどう読み解くかについて示唆を与えてくれていると思われます。
これでは不足なのでしょうか?
番組が需要を満たしていない要因として以下の事柄が考えられそうです。
・自分の興味と番組で取り上げるニュースが違う
・ゲストが専門家でないため、コメントの質が低く感じる
・専門家の意見が自分の考えに合っていないように感じる
自分の興味と番組で取り上げるニュースが違う
昔と比べて今ではキュレーションが発達・・・興味がありそうな事柄をおすすめに表示する精度が上がっています。昔は興味がある事柄をより深化させるためには自分に合った番組を見つけ出すか、書籍を見つけ出すことが近道でした。ただ、自分の興味にあったコンテンツを見つけ出すことは難しいし、そもそもそのようなコンテンツが存在していないことも少なくありませんでした。その結果、自力で探求するほどの熱意がなければ、忘れるより他ないこともあったのだと思います。
現代ではYoutubeやTiktok、XなどのSNSのおかげで、さまざまな人が情報を発信しています。そのおかげで、かなりニッチな情報も興味があれば知ることができるようになりました。
そのため、自分が興味があるニュースを取り上げてくれないという不満はかつてよりも強まっているのではないかと想像しています。
ゲストが専門家でないため、コメントの質が低く感じる
これはネットが発達する前から言われていましたが、芸人などのそこまで時事に詳しくない人がコメンテーターとして呼ばれることでコメントの質が求めている水準に達していないと感じる人はそこそこいました。
時事に詳しくないコメンテーターを起用しているのは一般人の目線に近い人物に意見を言ってもらうとか、単に人気の人物を読んで視聴率を稼ぐとかでしょうか。
先に書いた通り、最近では興味があることを知ることが容易になっています。その結果、興味がある人は自分で調べていて、もっと深い情報を求めているがそれを得られないという状況になっているのかもしれません。
専門家の意見が自分の考えとあっていないように感じる
ニュースによっては専門家を招いたり、深く取材した結果を報じていることもあります。ただ、報道番組が初見の人にもわかるように報じているため、内容が物足りない。あるいは専門家の意見が偏っている気がする・・・おそらく、自分のスタンスと合っていないと感じる。
これが専門家を招いたり、深い取材を報じても不満が出る理由なのではないかと思われます。
報道番組は事実のみを報じるべき
ニュースの要約や解説を求めている一方で報道番組は意見を加えずに事実のみを語るべきという意見も少なくありません。解説はほしい。しかし、報道番組は事実のみを淡々と伝えるべきというのは一見して矛盾しているように感じます。
おそらくですが、報道番組で取り上げるニュースの選出や専門家の意見が需要と合っていないことが矛盾を説明してくれる気がします。
ニュースはそのまま見ると多すぎるし、背景が複雑すぎて理解しきれないので解説が欲しい。しかし、公平な立場で論じた正しいと感じる意見が欲しい。
これが、報道は事実のみを報じるべきという一方でニュースの解説が欲しいと感じることにつながっているのではないかと思います。
AIは公平な気がする
AIにニュースを要約、解説させることがもたらすメリットは公平な立場で意見を収集して、ニュースの内容を深く解説してくれることではないかと感じました。
確かに AIは特定のイデオロギーに染まっていなくて、公平な感じがします。> 実際に試してみたところ、一般的な報道番組よりも踏み込んだ情報を提供してくれる印象を受けました。報道局ごとに偏りが出やすいトピックでも、比較的バランスよく両方の立場を紹介してくれます。また、興味があればその場でさらに質問をすることでより深い情報を与えてくれます。
これは、時事を公平な立場で要約し、詳しく解説してくれるというニーズを満たしてくれる、そんな気がします。
でも AIも公平ではない
これに対する回答が AIによるニュースの要約と解説なのかと言われれば私には疑問が残ります。私が疑問に思っている点は以下の3点です。
・ AIが情報を収集しているのはインターネット
・ AI自体が特定のイデオロギーに依っている
・間違った情報を語ることがある
AI1が情報を収集しているのはインターネット
私には、現代の報道番組はリベラリズムやグローバリズムに深く傾倒しているように見えます。その反動で、AIの解説は一見公平に感じられるのかもしれません。そこから見ると確かに AIは公平な立場で意見を述べてくれているように感じます。
しかし、 AIが要約や解説に使っているのもほとんどはインターネット上で得られた情報です。また、どのような情報源から情報を得たのかを確認しなければ、その意見の出所は分かりません。もしかしたら、双方の意見のうち、片方はすごく過激なことを言っているインフルエンサーなのかもしれません。
AI自体が特定のイデオロギーに依っている
ニュースの要約に使っている AIによっては学習の結果、特定のイデオロギーを前提にしていることも少なくありません。DeepSeekという AIが最たるもので、彼は中国の立場に反することは出力してくれません。ChatGPTもトランプの言っているような意見はあまり肯定してくれません。
間違った情報を語ることがある
これは結構知られていると思っていますが、 AIは基本的に知らないことを知らないとは答えてくれません。代わりにそれっぽい回答をしてくれます。そのため、事実ではないことをさも事実かのように語ることもあります。
欲しいのは色がなくて深い感じがする意見
最後にまとめになりますが、みんなが報道に求めているのは日々の情報をわかりやすくまとめてくれていて、何か学びがあるような感じがすることだと思いました。
ただし、まとめ方は恣意的ではなく、意見論評も公平な立場で意見を述べてほしい。
文字にすれば大した内容ではありませんが、かなり難しい要求のような気がします。
ニュースは誰でも理解できるように伝える必要があるため、前提知識を求めるような深い意見は、初見の読者にとって分かりづらくなりがちです。一方で初見の人に優しく作ってしまうと、より詳しく知りたいという需要に応えることができない。
とはいえ、テレビ局も馬鹿の集まりというわけではないので対策はされています。要は棲み分けをしていることを理解すれば良いのです。
通常のニュース番組はニュースの要約を見る。深い情報はクローズアップ現代などの特定のトピックに集中した特集番組を見る。
おそらく、これがテレビ局が想定している棲み分けの仕方なのだと思いました。
・・・とはいえ専門家として呼ばれる人の意見の偏りや番組自体の公平でない感じがするという感覚に対して、回答がありません。
そんなところから AIによるニュースの要約と解説が求められるようになったのだと思いました。