仕事ができないと思われることはつらい
はじめに
ここ最近、毎日行われるデイリースクラムという名の進捗報告会が長引いています。その場で行われている作業の進捗確認と今後の方針についての話し合いが非常に厳しく、聞いているだけで辛くて頭痛がするようになってしまいました。
デイリースクラムって何やってるの?
建前上はアジャイル開発をしていることになっているため、デイリースクラムというイベントが毎日行われています。なんちゃってアジャイル開発にありがちなことと思いますが、デイリースクラムは各人が昨日にやったことと、今日やることを発表する場になっています。いわゆる進捗報告会議です。
一般的な進捗報告会議であるため、作業が遅れていると報告すれば、どのように遅れを取り戻すのか、いつまでにオンスケにできるのかなどと言ったことがリーダーから質問されます。今回はこのリーダーからの質問がもはや質問ではなく詰問となっており、相手によってはパワハラと言われかねない域に達しているように感じています。
遅延対策の個別質問
およそ3週間にわたって毎日のように一人のメンバに対して以下のようなことを質問しています。
・担当している仕事をタスク分解したらどのようなタスクがあるのか?
・何故、そのようにタスク分解できると考えたのか?
・今あるタスクは予定通りに終わっているのか?
・各タスクはいつまでに終わるのか?
・各タスクが終わると考えた根拠は何か?
こんなことを毎日のように繰り返しています。そのメンバも毎日のように聞かれているものの何故何故と繰り返されるうちに段々しどろもどろになっていきます。その様子を見て、リーダーはやっぱりはっきりわかっていないのに仕事をしているのか!?といった風にさらにメンバについて細かく質問をする。答えているメンバもどんどん自信がなくなっていく…悪循環です。
この追及の何がつらいのか
担当している仕事をタスク分解したらどのようなタスクがあるのか?
タスクを分割するのはそれほど簡単にできない作業もあります。まだやったことのない作業であればなおさら事前にタスク分割することは難しくなります。そのタスクがわかっている側のリーダーがこういうタスクがあると教えずに正しい答えを言い当てることができるのかのテストになっています。正解できなかったらやっぱり仕事の内容わかってないじゃんとどんな仕事をやるか説明して!仕事の内容が違う!とヒートアップしていきます。
なぜ、そのようにタスク分解できると考えたのか
はい。もし、リーダーが考えるタスクの分割案を言い当てることができたとして、今度はどうして層のようにタスク分割ができると考えたのかという質問が飛んできます。これをリーダーが気に入るように説明できなかったら、「考え方が間違っているのにタスク分割なんてできるはずない!」と言って、分割したタスクの一つ一つのタスクで何をするのかをより詳細に具体化して説明することを求めらるようになります。その詳細がリーダーとイメージが違ったら、どんな仕事をやっているか全然わかってないじゃん、今ある仕事を説明して!となります。
今あるタスクは予定通りに進んでいるのか
このメンバは仕事という大きな括りで業務の進捗の確認をされているのではなく、細かいタスクそれぞれが進捗通りか訊ねられています。ここでの回答がこの後の質問の苛烈さを左右することになります。
各タスクはいつ終わるのか?
進捗が順調でも遅延が発生しても共通で寄せられる質問です。予定通りに進んでいればそこまで責められません。問題は遅れているときと新しいタスクに取り組むときです。遅れているときはいつ終わるのか、終わるといった根拠は何かと尋ねられます。
そして、まだ遅れが発生していなはずのこれから行われるタスクに対しても改めて、いつ終わる予定か、終わるといった根拠は何かと尋ねれれます。いつ終わるのかの目途がリーダーと乖離があれば、タスク分割が正しく行えていないと言って、タスク分解の話が本当に正しかったのかを追及する
各タスクのが終わる時間の根拠は何か
見積もり根拠が効かれます。説明する上でどのようなタスクがあるから、これくらいの時間がかかると説明することになりますが、ここでタスクの内容について、メンバーとリーダーの認識の齟齬が明らかになります。そのため、ここまで来て、再びタスク分割の話に戻ることが多いです。
もう一つリーダーの反応が良くない
リーダーは人の話を聞いた後じっくりと考えてから回答をするという癖があります。このような詰問形式の場では無言でいることには結構なプレッシャーが放たれます。これが1分くらい続いてから、タスクの分解の仕方が間違っている、各タスクの見積もり根拠を挙げているが、そんな作業はいらないはずだ、タスク管理が間違ってる!仕事の認識が間違ってる!と次々と溜め攻撃が繰り出されます。
そりゃ泣くわ
リーダーは過去にメンバーの女子に突然泣かれてしまって、どうしたらいいかわからなくてひどく困ったという経験をされたそうです。しかし、このようなことを繰り返していれば相手が泣きたくなるのも確かです。
仕事をタスク化して、必要な時間をおおよそ見積もって作業するというのは決して間違った方法ではありません。
これが毎日行われているのは仕事ができないと思われているから
このやり取りは全ての人に足して行われるわけではありません。また、このメンバに対して求めるほどには具体的なタスク化は求められません。なぜ、そのような差が生じているかというと、リーダーからこいつ仕事できないなと思われているか否かにあるように感じました。
仕事ができないメンバーであることから以下のようなことをできるようになってほしくてこのような質問攻めと否定の繰り返しが行われているそうです。
・仕事の目的を理解して仕事に取り組む
・やるべきことをはっきりとさせてから取り組む
・仕事はいつまでに終わらせることができるのかしっかりとした計画性を持って取り組む
どうしたらよいのか
タスク管理の場は互いに仕事の認識に齟齬がないか確認し、齟齬があればすり合わせるというのは一般的です。もし、認識に齟齬があればクイズ形式ひたすら詰問していくのではなく、リーダー自身の考えも伝えるべきです。
能力がある程度低いメンバーがいたら補助輪をつけるようにリーダーがサポートしてもいいのではないかと思っています。
例えば、メンバが自分のやるべき仕事や目的を把握していないのだとしたら、メンバ自身の確認不足です。また同時にリーダーの説明不足でもあります。
仕事の内容がわかっていなそう、目的がわかっていなそう、だからタスク化もうまくいってない。違うとひたすら否定しているのではなく、こんな時には説明をしてあげるべきなのだと思いました。
おわりに
ひたすら否定を繰り返すことで成長を促すマネジメントを目の当たりにしています。
確かにメンバに成長も考慮した活動をすることもリーダーには必要ですが、だからと言ってこの手法はコーチングとは呼べないと思っています。
ひたすら否定を繰り返すことで、これも違った。あれも違った。だから残りのこれが正解だ!となることを夢見ているのかもしれませんが、人間はそれほど様々なパターンが思いついているわけではありません。アンチパターンからは正解を導き出すことができないように、わかっていないようならどういうやり方ができるのかを説明して、仕事をできるためのツールを身につけさせてあげることが必要なんではないかと感じました。