はじめに
市民運動と言えば、署名活動や街頭デモ、集会など物理的に人が集まって声を上げる活動を意味していました。しかし、昨今ではSNSの普及によって市民の声の表し方が大きく変換しているように感じました。
それは木更津市ホームタウン問題において、ガーナ製普段の視察が中止になったことでネット市民運動という言葉を使っていることからそのような印象を得ています。
実際にTwitterやInstagramなどを通じた「炎上」や「ハッシュタグ運動」が社会や政治に影響を与えることが増えてきたような感覚を憶えています。
SNS市民運動の特徴
SNS市民運動には以下のような特徴を持っているような気がしています。
- 参加ハードルが低い
いいねやシェアといった最小限の行為でも、声を広めていくことができます。従来の市民運動に比べると時間的・物理的制約が少なくなった
- 即時性と拡散力
問題が発生するとすぐに情報が広がり、企業や行政が短期間で対応に迫られることがあります。これは従来の署名運動やデモよりも圧倒的にスピードが速いです。
- リーダー不在の分散型
特定の団体やリーダーがいなくても、ハッシュタグや共通の問題意識を通じて参加者が緩やかにつながっています。これは従来の組織型の運動とは異なるところです
- 国際的なつながり
SNSでは翻訳機能があるおかげで言語の壁を越えて活動が共有されることがあります。
- 少数派の意見が通る可能性がある
ネット上の炎上は時に一人の人物から始まることすらあり、少人数の意見を反映することができる可能性を秘めています。
課題とリスク
- 少数の声が多数の声に見える
大きく炎上した事例でも発信しているのは数十名だったという事例があります。数十名が騒いだだけで「世論」扱いされてしまう恐れがあります。
- 短期的で持続性が弱い
多くは一時的な盛り上がりでおわることになります。これは活動が緩やかで即効性があるかわりに冷めやすいことを意味していそうです。
- 感情的で断片的な議論になることが多い
組織が大きくなるほど判断にはたくさんの利害関係者による判断や冷静な判断が求められます。しかし、炎上しているときは感情的だったり、断片的な議論で話が先に進むことも少なくありません。
- メディアとの結びつき
おそらくですが、日々小さな炎上の火種はそこらに転がっていると思います。その中でどれが炎上して、さらに影響を与えるケースではほとんどメディアによる報道の後に活動が大きくなることが少なくありません。これはメディアが何を炎上とするかを決めているといってもよいかもしれません。
さいごに
SNS市民運動は従来の市民運動とは異なる性質を持ちながらも、現代社会において重要な役割を果たし始めています。少数の声が社会に届く可能性を秘めているものの、一方で炎上が世論と誤解される危険性もあります。さまざまな選挙運動に影響を与え始めることが分かった結果、SNS規制の声が聞こえ始めています。
いずれにしても、これからはSNS市民運動を過大評価するのでも軽視するのでもなく、強みと限界を理解した上で、社会の意思決定にどう役立てるのかが問われているように思います。
ABOUT ME